市教育センターのご協力で,6年生が戦争を体験した方からお話を聞く機会をいただきました。
お話にいらしてくださったのは,吉田由美子さん。当時3歳だった吉田さんは,1945年3月10日夜の東京大空襲で,一夜にしてご両親と生まれたばかりの妹さんを失って戦争孤児となります。10万人以上が犠牲になったといわれるこの夜の空襲で吉田さんご自身が助かったのは,親戚のおばさまに一時的に引き取られていたからで,その後,ご家族の安否も分からぬまま,親戚の家を転々としながら終戦を迎えます。ご家族の死を知らされたは6歳のときだそうです。親戚の家では冷たく扱われ,家や畑の仕事などを手伝いながら学校に通います。苦労の末に高校を卒業し,就職のために上京した際,空襲当時ご両親の逃げる姿を見たという近所の方にお会いし,お話をうかがったそうです。現代では考えられないような理不尽な悲しみと苦しみを味わった吉田さんの人生について,児童も真剣に聞いていました。心が痛みました。
現在は鹿嶋市在住で,ご自身の戦争体験を伝える活動をとおして平和を訴え続ける吉田さん。「戦争は一時の出来事ではなく,悲しみや苦しみがずっと続くのです。」「戦争は一部の人間の考えによって引き起こされる人災です。」というお言葉が心に残りました。最後に「平和のバトンをよろしくお願いします。」と言い残して会場を去りました。
児童からも「戦争について授業で勉強して知ってはいましたが,今日のお話を聞いて『自分にも関係があることかもしれない』と考えました。」という感想が聞かれました。今,ウクライナで起きているようなことが,過去に日本でも起きたのだと教えてくださった,吉田さんの貴重な授業でした。